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Akashic Records
2021年春M3 G-09
#のいとの
僕が住むこの地域にはある伝承があった。
満月の夜、
たった一人で裏山の奥にある星の湖に向かい
水面に移った月に向かって
願いを唱えると
その願いが叶うという。
幼い頃から子守唄のように聞き続けてきた伝承
ただの噂
そう思っていた・・・・・・
この時までは。
満月の光がまぶしい夜、
真っ赤に染まる森を駆け抜け、
僕は
半信半疑ながらも湖に向かって願いを叫ぶ
どうか夢であってほしい。
そう願い
再び目を開けたそこは
僕がよく知る、全く知らない場所だった
僕のよく知る彼女も
僕がよく知るあの人も
誰も彼も、僕自身も
誰も彼もが僕の知らないものだった
ただ一つ
湖の伝承を除いて
僕は一縷の望みをかけて
再び湖に願いを叫ぶ
それが、過ちだとは気づかずに・・・
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